地下水とは、地上に降った雨や雪が土壌内に浸み込み、地表面より下にある水の総称です。もともと地下水とは地下水面より下の帯水層に存在する飽和状態の水に限定されていたようですが、現在では地下水面より上の不飽和状態にある水も含めて地下水とする考え方が一般的です。つまり、地表面より下にある水の総称といえます。
雨や雪が降ると、その水は山林などの土壌内に浸み込みます。その水が土の作用によって浄化されていきます。数年、時には数万年をかけてろ過されていくのです。粒の大きい土で形成されている地層であれば水は通り抜けていき、水が透過しづらい土(不透水層)、つまり泥岩の地層の上に水はたまります。これが地下水のたまる原理となります。
その地下水を採取するために井戸を掘削し、揚水ポンプで地下水をくみ上げます。この地下水をくみ上げた水のことを「井戸水(井水)」といいます。井戸はどこでも掘削して良いのではなく、自治体によって揚水規制を設けている場合があります。地下水の過剰摂取による地盤沈下や塩水化を防ぐためです。高度成長期に工場が地下水を多量にくみ上げた結果、地盤沈下した話をご記憶の方も多いと思います。また、臨海部では地下水を採取しすぎると地下に海水が侵入して塩水化し、水道水や工業用水、農作物に被害を生じさせることがあります。
「水の惑星」と呼ばれる地球には、約14億k㎥の水が存在すると見積もられています。しかし、そのほとんどは海水であり、淡水はわずか2.5%にすぎません。さらに淡水のほとんどは極地の雪氷であり、地下水は0.76%、河川や湖沼などの表流水は0.01%にすぎません。地球の生命を育み、私たちの生活に欠かせない偉大な水ですが、私たちが使える水資源は非常に限られた希少なものなのです。
その貴重な地下水資源を有効活用しつつ守っていくためにも、当社では揚水規制を遵守することはもちろんですが、必ず揚水試験を実施し、独自のデータやノウハウを活かして地層や地下水(井水)の状態を調査し、採取しています。
(1) 水温が安定している
地下水は、夏は冷たく冬は温かい恒温性を持っているため、電気・ガスなどのエネルギーコストの削減が期待されます。
(2) 送水エネルギーがかからない
水源を足元から採取するため、ダム建設や長い配管による送水エネルギーがかかりません。
(3) 災害時に使用可能
災害が起きると、何より急がれるのがライフラインの確保・復旧ですが、電気に比べ、水道やガスは地中に管が埋設されていることもあり、復旧に時間を要します。しかし、地面に対して平行に走る水道管と違い、垂直に掘られる井戸は、地震の影響を受けにくいことが過去の震災でも実証されています。
(1) 初期費用やランニングコストがかかる
地下水を使用するためには井戸を掘削したり地下水をくみ上げるためのポンプを設置するためのイニシャルコストや、ポンプを動かすための電気代や設備の保守費用といったランニングコストがかかります。
ただ、水道料金や使用水量によりますが、総合的には水道料金より安くなるケースも少なくありません。
(2) 水質や水量に問題がある場合もある
地域・場所により地下水の水質や水量は異なるため、どこでも必要量の地下水をくみ上げることができるとは限りませんし、そのままでは使えない水質である場合があります。また、井戸が浅い場合は特に、近隣の土壌汚染などの影響を受けるなど、水質が安定しないこともあります。
多くの井戸掘削実績を持つ当社は地下水の水質や水位をはじめとしたデータを点ではなく面で把握しているので、事前に十分なリサーチをおこなった上でご提案させていただいております。
(3) 停電時には使用できない
揚水ポンプなど動力を使用している場合は、停電してしまうと使用できなくなってしまいます。
しかし、水道に比べ、電気の復旧は早いと言われています。予備電源などがある施設では、その電力で地下水のくみ上げやろ過が可能ですし、当社では非常用発電機の販売もおこなっております。
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固定費・水道光熱費の高騰に伴い、いかに出費を抑えるか悩まれる場面が増えているかと思います。
水道代に関して挙げられる削減手段は、敷地内に上水道とは別に自ら水源を確保し、日常的にその水源の水を利用することです。
敷地内に井戸を掘って、地下水(井戸水)をくみ上げ、さらにろ過する設備(地下水膜ろ過システム)の導入により、飲料水として日常的に地下水(井戸水)を利用する。そうすることで上水道のみの利用よりも、総合的には水道水道料金を安くできるケースがあります。
なお、水道料金の削減金額は、地下水(井戸水)自体の水質、実際の水道使用量や、各自治体が定める上水道単価・規制などによって様々です。これら条件の情報をもとに、シミュレーションのうえ試算内容をご提示することも可能です。
前述のように、地下水は地域・場所や採取する深さによって水量も水質も異なります。また、特に井戸が浅い場合は、近隣の土壌汚染などの影響を受けたりと水質が安定しないこともあります。近くの工場や畑から井戸水に環境汚染物質が流れ込んだというニュースを見聞きした方もいらっしゃると思います。
また、全国各地に名水と称される湧水や地下水が多くありますが、水系感染症を引き起こす原因物質である大腸菌や一般細菌が含まれている場合があります。環境省が制定した「日本の名水」のいくつかに大腸菌が含まれていることは衆知のことで、「おいしい水=安全な水」とは一概には言えないのです。
地下水(井水)飲料化事業のパイオニアとして当社がこだわっているのは、安全性への徹底した配慮です。まず水源となるのは原則として100m前後まで掘り下げた深井戸※です。地下深い水は、地層によるろ過や遮水作用などにより、地表からの汚水や生活用水の影響を受けにくいと言われています。
※掘削深度は地域ごとに異なります。
一般的に使用される中空糸膜は、側面に無数の超微細孔があるストロー状の細い糸で、これを9,000本~25,000本束ねて筒の中に入れたものが「膜モジュール」です。この膜モジュールに圧力をかけた水を流すと、水の中に混入している粒子や細菌は小さな穴を通ることができず、除去される構造になっています。この高度な膜ろ過処理によって、食中毒の原因となるO-157やクリプトスポリジウムなどの細菌類・原虫類などを除去します。
さらに、24時間365日水質を監視している安全装置がついてるため、異常が発生してもシステムが自動停止して公共水道に切り替わります。
当社の製品である限外ろ過膜(UF膜)の膜モジュール「ウェルピュア」は、(社)膜分離技術振興協会がおこなっている水道用膜モジュール認定を取得しています。この認定は、水道用膜モジュールが、「水道施設で使用される資機材として具備すべき要件を備えているか」、「浸出試験が基準に適合しているか」、等を評価することにより、品質の適正化を図ること及び一定水準以上の水道用膜モジュールの供給に資することを目的としています。
また、当社の地下水膜ろ過システムは、(財)水道技術研究センターがおこなっている浄水用設備等認定を取得しています。 この認定は、浄水用設備等に係る技術研究開発及びその普及促進に資することを目的としたものです。
保守管理(メンテナンス)契約を結んでいただくことにより、水道法に定められた水質基準を保証します。
万一、井戸を掘削した際に、ご提案した条件を十分に満たせないようであれば、井戸掘削に係わる工事費を当社が負担するため、お客様の費用リスクは原則ございません。
万一の異常時にも、即時に情報をキャッチし、その後速やかにメンテナンス員に伝達されます。
※メンテナンスについては、メンテナンス契約をご締結いただく必要があります。
地下水(井水)膜ろ過システムの稼働情報や供給水質、地下水位の変動などをリアルタイムで確認できる当社独自の遠隔監視システム(WeLLDAS®)を国内外で導入し、お客様の設備を現場と本社から適切に管理しています。
また、プラントの常時運転監視、異常発生時の情報収集はもとより、水質や地下水位の変化も観測し、広域なお客様の設備情報を一元管理することで、設備の予防保全や地下水の適正管理にも努めています。
弊社の導入実績は、日本全国で1,300件を超え、病院、介護施設、工場、駅、学校等、業種を問わず、幅広く採用されています。
水道経費の削減や施設の災害時のライフライン確保はもちろんのこと、災害時に地域住民への水提供による地域貢献(CSR)をされている事例もございます。
工場のお客様等は特に、既に井戸をお持ちで地下水を活用されていても飲料水系統にまで利用されていないことがございます。弊社システムご活用によって、水道経費の削減や地域貢献(CSR)に寄与できる可能性があります。