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災害拠点病院のBCP(事業継続計画)と災害対策

BCP対策 非日常には日常から対応

災害時にも診療を継続するには自力で3日間は持ちこたえられるよう準備しておくことが推奨されていますが、については備蓄や貯水槽だけで賄うには無理があり、足元からくみ上げられる地下水(井戸水)の利用がお勧めです。

BCPの必要性

地震などの大規模災害が発生した際に、被害者への医療提供について中心的な役割を担うのは、被災地域の医療施設です。
けれども、実際に大規模災害が発生した時には、職員が出勤できないなど人的資源の減少に加え、ライフラインの途絶や設備の被害など、物的資源の減少も想定されます。
あらかじめ優先すべき業務を検討し、「どの業務」を「いつまで」に実施するのかを整理しておくことで、病院における防災対応力が向上し、より効率的・機能的に動ける体制を作り上げることができるのです。

BCPの策定ステップ

BCPは、下記の8ステップにより策定を進めていきます。
策定にあたっては、医療機関全体、さらには地域の医療機関等との連携体制を視野に入れた検討体制を構築し、各部門による具体的な検証や調整をおこなうことで、有効なBCPを策定することが可能となります。

BCPを策定するための8ステップ

STEP 必要業務
1 方針と検討組織 ・医療機関の方針を決定
・責任者の選定(病院長等)
・各部門の責任者による検討組織の構築 など
2 現況の把握

・指揮命令系統の確認
・人員の確保状況の確認
・場所や資器材の確保状況の確認 など

3 被害の想定 ・時間別の状況の想定の確認
・病院における被害の想定 など
4 通常業務の整理 ・通常業務の列挙と必要な資源についての整理
5 災害応急対策業務の整理 ・災害時に必要な業務の列挙と必要な資源についての整理
6 業務継続のための優先業務の整理
(概要表の策定)
・STEP4、5で挙げた業務の取りまとめ
・優先業務の設定
・目標開始時間・実施レベルの設定 など
7 概要表の文書化 ・BCP行動計画表の作成
8 BCPの取りまとめ ・STEP1~7の取りまとめ

(参照元:東京都福祉局 医療機関における事業継続計画(BCP)の策定について)

災害拠点病院とは

平成7年の阪神淡路大震災の教訓を活かし、平成8年に当時の厚生省の発令によって定められた「災害時における初期救急医療体制の充実強化を図るための医療機関」のことで、次のような機能を備えた病院です。

【災害拠点病院の指定要件】

運営について

  • ① 24時間緊急対応し、災害発生時に被災地内の傷病者等の受入及び搬出を行うことが可能な体制を有すること
  • ② 災害発生時に、被災地からの傷病者の受入れ拠点にもなること
  • ③ 災害派遣医療チーム(DMAT)を保有し、その派遣体制があること
  • ④ 救命救急センター又は第二次救急医療機関であること
  • ⑤ ヘリコプター搬送の際には同乗する医師を派遣できることが望ましいこと

施設及び設備について

  • ① 診療機能を有する施設は耐震構造を有すること
  • ② 通常時の6割の程度の発電容量のある自家発電設備等を保有し、3日分程度の燃料を確保しておくこと
  • ③ 災害時に少なくとも3日分の病院の機能を維持するための水を確保すること。具体的には、少なくとも3日分の容量の受水槽を保有しておくこと、又は停電時にも使用可能な地下水利用のための設備(井戸設備を含む。)を整備しておくことが望ましいこと。ただし、必要に応じて優先的な給水協定の締結等により必要な水を確保することについても差し支えないこと
  • ④ 衛星電話を保有し、衛星回線インターネットが利用できる環境を整備すること
  • ⑤ 食料、飲料水、医薬品等について、流通を通じて適切に供給されるまでに必要な量として、3日分程度を備蓄しておくこと。また、食料、飲料水、医薬品、燃料等について、地域の関係団体・業者との協定の締結により、災害時に優先的に供給される体制を整えておくこと
  • ⑥ 原則として病院敷地内にヘリコプターの離着陸場を有すること
  • ⑦ DMATや医療チームの派遣に必要な緊急車輌を原則として有すること

「災害拠点病院指定要件の一部改正について」令和元年7月17日付厚生労働省医政局発出より抜粋

東日本大震災以降の病院における防災対策の変化

災害拠点制度は前述の通り阪神・淡路大震災での教訓を活かして始まったものですが、その後も東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨などでの経験や教訓を元に見直されています。

1995年 阪神・淡路大震災
「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会」
ー 広域災害・救急医療情報システムの整備について など
1996年 「災害時における初期救急医療体制の充実強化について」 (健康制作局長通知)
ー 広域災害・救急医療情報システムの整備 など
広域災害・救急医療情報システム(EMIS)の運用開始
2010年 DMAT事務局の設置
2011年 東日本大震災
「災害医療等のあり方に関する検討会」
ー 災害拠点病院について
ー DMATについて
ー 中長期における医療提供体制・その他について
2012年 「災害時における医療体制の充実強化について」 (医制局長通知)
ー 都道府県における災害医療コーディネーターの設置
ー 災害拠点病院の指定要件を改正 など
2016年 熊本地震
「医療計画の見直し等に関する検討会」
ー 熊本地震の医療活動について
「災害拠点病院指定要件の一部改正について」 (医制局長通知)
ー 災害拠点病院の指定要件として、業務継続計画の策定等を追加
小児周産期リエゾンの養成開始
2017年 「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」(大臣官房厚生科学課長、医制局長他5部局連名通知)
ー 保健医療調整本部の設置
2018年 「救急・災害医療提供体制等のあり方に関する検討会」
ー DMAT事務局の体制整備について
ー EMISのあり方について

厚生労働省「病院の業務継続計画(BCP)」より抜粋

“入り口”を担う「医療救護所」と、重傷者を受け入れる「災害拠点病院」の二極化の形ができるきっかけとなったのが、1995年に発生した阪神・淡路大震災です。「トリアージ」という概念が浸透したこと、「日本DMAT」(災害派遣医療チーム)が生まれたのも、阪神・淡路大震災がきっかけです。

ところが、2011年の東日本大震災ではいくつかの想定外が起こりました。一つは、患者さんは医療救護所に集まると想定されていたものの、実際は医療機関に集まったということです。もう一つ、想定外だったのは、災害拠点病院でも津波の被害に遭い、医療活動を行えない病院もあったということです。そのため他の災害拠点病院に患者さんが集中しました。しかも、急性期の患者さんだけではなく、日常的に診療所にかかっていたような慢性期の患者さんも、集中してしまいました。一方で、災害拠点病院以外の病院は、もともと入院している患者さん、新たに集まる患者さんに対応し、多くの患者さんと職員を抱えていたにもかかわらず、「災害時の医療計画に入っていない」という理由で、行政からの物資支援はありませんでした。

そして、平成28年熊本地震における医療活動の課題を含めた、災害時における医療体制の整備に関する議論がなされ、平成29年3月31日に厚生労働省医政局長通知として災害拠点病院指定要件の一部改正が通知されました。
改正前は「可能であること」という表現だったものが「満たしていること」と改正されるなど、より厳格化されたと言えます。

病院・医療機関における事業継続計画(BCP)とは

東日本大震災での学び、そして直下型地震が起こった場合の想定をふまえて、東京都では新たな災害時医療計画がまとめられました。主なポイントは次の通りです。

  • ・ フェーズ区分の明確化
  • ・ 行政区域に応じた体制の整備
  • ・ 医療機関と医療救護所の役割分担
  • ・ 情報連絡体制
  • ・ 医薬品・医療資器材の確保

BCPにおいて大事なポイントは下記のようなものが考えられます。
・ スピーディな意思決定
災害時医療では決定することが大切になります。情報収集と意思決定を担う「災害対策本部」をつくり、本部長などに権限を与えることが必要でしょう。
・ 職員の招集
病院としての機能を果たすには、職員を集めることも必須です。通常時の配置要員を確認し、その上で発災からのフェーズに応じた緊急時参集要員を確認することが必要でしょう。
・ 3日分の備蓄
3日分の医薬品、医療材料、水と食糧が必要とされています。これらを確保するには、コストもスペースも必要です。補助金をつけてもらう、自治体の条例で井戸掘削が認められていない場合は災害時のみ井戸水を使えるようにしてもらうなど、行政との交渉も必要でしょう。
このほか、病院前でトリアージを行うための備品類、さらに、患者さんが集まるため簡易ベッドや毛布も備蓄しなければいけませんし、災害用のカルテも、医療救護所などに患者さんを送るためにキャスター付きの担架も有用です。

災害医療計画は、地域によって異なります。自院が所在する地域の災害医療計画のなかで、病院がどんな役割を果たすのか。それぞれのポジションを考えて、BCPを作成する必要があります。

災害拠点病院のみならず、それ以外の医療機関においてもこれに準じた対策を実施し、災害時にも診療が継続できる体制を整えておくことが求められているといえるでしょう。

東京都福祉保健局「大規模地震発生時における災害拠点病院の事業継続計画(BCP)策定ガイドライン」
より一部抜粋

3日分の水を確保するには

2018年は6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、9月の北海道地震など、日本列島の各地で豪雨や地震などの自然災害が発生し、災害拠点病院などにおける体制整備の重要性が再確認されました。とくに、2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震によって北海道全域で停電する事態が生じ、「電源」「水」の確保の重要性が改めて認識されました。
そうした中で内閣官房は、災害時において医療提供の重要な拠点となる災害拠点病院、救命救急センター、周産期母子医療センターについて、「自家発電設備等が整い、燃料等の備蓄がなされているか」「給水設備が整っているか(受水槽や地下水利用をしているか)」を緊急調査。その結果、前述の災害拠点病院など822病院のうち、自家発電設備等については144病院、水確保については207病院で設備の増設などが必要であることがわかりました。

水の確保については、「少なくとも3日分の病院の機能を維持できる水の確保が望ましい。ただし、病院内外のインフラの整備状況を鑑み、その確保は、受水槽の確保または停電時にも利用可能な地下水(井戸水)利用のための整備のいずれを用いてもよいものとし、必要に応じて優先的な給水協定の締結等を行う。」とされました。

上記災害拠点病院の指定要件の内容も含め、水の備蓄として考えられる方法を検証してみましょう。
・ ペットボトルなど飲料水の備蓄
保管スペースの関係上、入院・外来の患者さんや職員の飲料水だけではなく、診療・手術・透析などで使用する水まで確保するには無理があります。
・ 受水槽での備蓄
通常、受水槽の容量は原則として1日平均使用水量の4/10~6/10(半日分程度)で設計するため、3日分の必要水量を受水槽で賄うには相当大きな受水槽を設置する必要があります。
・ 優先的な給水協定の締結
自治体などと災害時に優先的に給水して貰うよう協定を結んでいる病院も多いと思います。それ自体は有効ですが、給水場所から病院までの交通網が寸断されてしまった場合は、協定があっても給水して貰えない可能性があります。
・ 地下水(井戸水)の利用
地下水(井戸水)は病院敷地内に井戸を掘るため交通網の寸断などの影響はなく、非常用発電機など電源を確保しておけばくみ上げることが可能です。また、地面に対して平行に走る水道管と違い垂直に掘られる井戸は、地震の影響を受けにくいことが過去の震災でも実証されています。

厚生労働省「重要インフラの緊急点検の結果及び対策について」より一部抜粋

災害時の水を地下水(井戸水)で確保するメリット

前述のように敷地内に井戸を掘りくみ上げれば利用可能な地下水(井戸水)ですが、そのまま診療や入院患者さんの食事や入浴に利用できるわけではありません。地下水(井戸水)をそのままろ過せずに利用するのではなく、水道法第20条に定められた水質に処理する必要がありますし、透析に利用する場合にはさらに透析液水質基準を満たさねばなりません。普段はそのまま飲めるような水質の地下水(井戸水)であっても、大地震があったあとは地下水位や水質が変動することもあるため、地下水(井水)膜ろ過飲料化システムで安定した水質を得られるようにしておくことが必要です。
地下水(井水)膜ろ過飲料化システムは、災害時のみならず平常時から利用することが可能です。上水道と併用することで、災害時に2WAYで対応することができます。

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